君はTVっ子

私もTVっ子です。

【1月に読んだ本】『ハサミ男』 殊能将之

わたしネタバレとか平気でする人なので未読の方はご注意を。

ハサミ男 (講談社文庫)

 

樽宮由紀子。美しい女子高生。誰しもが振り返る魅力的な少女。主人公の「わたし」は彼女を目で追いかける。ひと時も目を離せない。「わたしの想像通りの少女だ」なんて考える。愛しているわけではない。だが、目を離さない。

そして、そんな彼女を「フライングゲット」されちゃうのである。

 

なんちゃって。

 

きっとこの本を読んだ多くの人々とおそろいで、わたしもすっかりしてやられました。「へー!」なんてkindlePWの縁を握りしめながら、冷えた布団の中で声を上げたりもしてしまいました。なるほど、すごい!これは技ありだ!

ぎゃふん!と言いたい人はぜひ読んでほしい。こんなの予想できないって!

 

ただ、唯一もったいなかったなぁと感じたのは、事前に「どんでん返し」のある作品だって知ってしまっていたこと。2ちゃんの「おすすめ本を紹介するスレ」的なのを眺めるのが好きなばっかりに。

来るぞ~来るぞ~って思いながら読み進めていたために、いざ「どんでん返し」!とくると、なんだか予想だにしなさすぎて逆に拍子抜けしてしまった感じでした。

それってすごいことなんですけどね!

あとは私が主人公(仮)の「でぶでフリーターで自殺願望のある服のダサい男」というスペックに親近感を抱いていたからですね、その主人公像をぶっ壊されて驚いてしまったわけです。

私が今まで嫌悪と恐怖と少しの好意を持って見つめていた男はどこにいったんだ!と思うとなんだか脱力してしまって、そのあとの怒涛の伏線回収を楽しめませんでした。

 

もったいないなぁ。もっと爽快感を味わいたかったなァ。「そういうことだったのね!」なんてさ。

きっと最初から本当の主人公像を頭の中に描いて読んで行けば、落ち着いてラストまで読むことができると思います。時間を置いて、また挑戦しようと思います。

 

(了)